日記的。

夜中に目が覚めて、薄暗い天井を見ていた。

「わたしってずっと自由だったんだ……」

そう思った。そう思ったら、あんなこともこんなこともすべて自分が決めてきたことなんだよなぁって。

人のせい、社会のせい、あいつがこう言ったから、私があの時こうすればと後悔と恨みしかなかった過去がすうっと浮かんで天井から暗い夜の中に消えていくような気がした。代わりに何でも自由に決めてきた私が今、こうしてここに寝ていると小さな喜びが湧き上がってくるのを感じた。目が覚めて、時間的には1分もなかったと思う。

ワンワン、ワンワンと音がした。え、犬? そう、犬。襖をはさんで隣のリビングにおいてある娘のおもちゃ箱の中から犬の鳴き声がした。フシギとまったく怖くなくて、怖いと思っちゃいけないような気がして、じっと耳を集中させた。ワンワン、ワンワン。止まらない。娘が起きてしまうかも。

5回くらい繰り返されたところで、カサっと羽毛布団を押しのけた。音をたてないように一つずつ、おもちゃをつかんでいるのに、ワンワンの音はすこしずつ大きくなる。これをどければ、たぶん犬がいるはず。目星をつけたおもちゃに手をかけた瞬間、声がやんだ。なんだよ、もっと早く鳴きやんでよ。

結局、おもちゃ本体を見ずにまた布団に入った。翌朝、こんなことがあったよと夫に話したら、案の定、気味悪そうにしていた。私は霊感はまったくないけれど、どこか安心していた。包まれた気持ちでいた。

仕事を辞めて書く人になりたいとか、もっとお金を稼ぎたいとか、娘を幼稚園に入れたいとか、ハワイに住みたいとか、出版社からオファーがきてパリで小説を書きたいとか、シャネルでお買い物したいとか、二人目の子供を何の不安もなく作りたいとか、今年に入ってからたくさんの夢があることに気付かされた。それが現実になるように言葉にしたり、夢を叶えている人にハッパをかけまくってもらっているけれど、どこか心のストッパーがイヤイヤと言っていた。自分でも気づいていない。いよいよ、というところで何かが私を止めに入る。

それは私を見ている私以外の人がそう言っていて、本当は誰も言っていないのに、私が勝手に私以外の人になった気でいて、イヤイヤと言っているのだった。私が私の殻から外に出て、外から自分を見て、イヤイヤお前なんて、いい気になるな、そんなことできるわけないだろと言っていた。一人二役どころか、世界中の目になったつもりで自分を見ていた。

その度に相手にすり寄って、「ですよね、そんなことできるはずないですよね」また次のだれかにすり寄って、「わかりました。傲慢な願いは取り下げます」とか、一人芝居を繰り広げていたのだった。生まれてこの方、ずっと。たぶん。誰も見ていないひとり芝居を。あー、なんて残念。

演者は私ただ一人。脇役もすべて私がやる。ということは、私が脇役をしているとき、私の役は誰がやるの? 誰もいない。つまり、私という人生のお芝居に、私がいなかったわけで。

私はずっと、自分のことを無視してきた。いるのに、いない人みたいに他の人のことばかり考えて、私のハートはどう思っているのか見ようとしなかった。見ているつもりで、それはいつも他人の目から自分を見ているだけだった。自分の心で自分を感じようとしなかった。

「自分を無視するのはもうやめよう」

そう決めたら、

仕事をやめて自由になりたい。書きたいことを自由に書きたい。もっとお金を稼いで自由にモノが買えるようになりたい。娘を幼稚園に入れられるくらい自由な働き方をしたい。自由なタイミングでハワイに行けるような働き方と稼ぎ方をしたい。オファーがくるくらい力をつけて自由に書きたいところに行けるようにりないたい。シャネルでお金を気にせず自由に買い物したい。欲望に身を任せて自由に子供を作りたい。

私の野望のすべては「自由になりたい」その一言でまとめられるくらい単純だった。つまり私は「私は自由である」と感じたいだけ。他人から見た私じゃなくて、私のハートが私は自由だと思いたい。ってとこまできて、目が覚めた。

夢を見ていたのかな。

「わたし、自由やん」目が覚めて心が言った。

今までも自由に決めてきたよね。親の気持ちや友達の視線を感じて、次の行動を決めたのも私。気にしないって決めたけど、気にしないと不安で元に戻るのも私。こうやって書くのも私。ぜんぶ、自由に決めてきたんだよ。今までも、これからも。

よくがんばったね。よくここまできたね。よく気づいたね。えらいよ、私。ずっと無視しててごめんね。これからはあなただけを見るよ。そう決めたら、やっとまた書けるようになった。

書きたいのに書けない。自由に生きたいのに生きられない。もっと稼ぎたいのに稼げない。眠りたいのに眠れない。笑いたいのに笑えない。願いが叶わない時は、自分を無視してる。本当の願いを自分に聞いてあげてない。

書きたいのに書けないのは、うまく書かないと書いちゃダメだって思ってたから。うまく書けないなら、書きたくなかったから。本当のほんとうの願いを聞いてあげたら、実はそれ、もう手に入れてるやんってことに気づく。

書けないんじゃなくて書きたくない。生きられないんじゃなくて生きたくない。稼げないんじゃなくて稼ぎたくない。笑えないんじゃなくて笑いたくない。ぜんぶ、自分が決めてる自分の願い。

自分を無視しないで。優しく聞いてあげて。それがやっと言えるようになって、本当にうれしい。この本を読んで、ご本人に会って、ブログを読みまくったら、こんな気持ちになれました。ありがとうございます。

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