日記的。

「もう無理…! 明日、代わりに行ってきて……」

深夜2時、私は旦那さんに泣きついていた。逃げ出したかった。大人としてやってはいけないとわかっているけれど、本気でドタキャンしかけた。

起業家である経沢香保子さんの前で夢を語ると決めてから2ヶ月、私の頭の中はぐちゃぐちゃだった。渋谷のスクランブル交差点みたいに、たくさんの気持ちがどこからともなくザーッと集まってはサッと消えていく。そのくりかえし。

私は交差点の真ん中で自分の夢を探している。この人だと思う人の肩をつかんでも、するりと逃げられたり、やっと捕まえても振り返った顔は探していた人ではなかったり。どうしよう。期日までにこの中からたった一人を見つけ出して、「私の運命の人はこの人です!私の夢はこれです」って、宣言しなければいけないのに。

3年前、書くことが好きだと気づいた。2年前、書くことを仕事にしたいと思った。1年前、娘が生まれ縛られずに働くと決意した。2ヶ月後、ついにその時がくる。誰かに真剣に夢を語る。相手は「すべての女性は自由である」の本の著者。

そう、私は自由になりたい。

自由って、ひとりで何でもしていいってことじゃない。やりたいと思ったことを諦めずに工夫しながら、周りに協力してもらいながら実現していくこと。女性はどうしても、男性に気後れしてしまったり、家庭を優先しないといけなかったり、始める前に諦めてしまうから。さぁ、今までためてきた思いを爆発させよう!

そのはずだったのに、出だしからつまづいた。そもそも、私って何が書きたいの? エッセイが得意だから誰かの人生を本にしようか。手紙も好きだから手始めに結婚式の手紙を代筆してみようか……。違う。どこかピンとこない。与えられた時間は2分なんだから、これ! と思うものひとつに絞らないと。

そう思うと余計に迷った。そして1ヶ月半が過ぎた。絞り出したプレゼン原稿を旦那さんの前で読んでみても、旦那さんは困り顔。自分でもわかる。気持ちが乗ってない。どうしようもなくて、先生のところに駆け込んだ。書くことをはじめて私に教えてくれた人。気持ちを届けたいのに、届け方がわからない。うまく思いを伝えたいのに、やり方をひとつに絞れないと。泣きながら。

先生は言った。

「出せるだけ出してみたら」

力が抜けた。

「やり方なんて気にしなくていい。どんどん出してみればいい。その中から好きなものが見つかるかもしれない。見つからなくてもいい。ただひたすらに、書き続ければいいだけ」

そう、私はただ書きたいだけ。一分一秒も待ってくれずに、ぽわんと生まれては消えていく泡みたいな気持ちを書きとめておきたいだけ。

答えをもらえてラクになったけれど、迷いは残った。当日、大阪行きのJRの中でばらばらの答えをなんとかひとつにまとめた。

11月も終わりかけ。午後になっても風は冷たかった。黒やグレーで身を包む人が多い中、経沢さんは鮮やかなブルーのワンピースで会場に入ってきた。縦長の会場の一番後ろから笑顔で、途中から小走りになったのがかわいかった。

一部の講演の後、二部で13名限定のドリームスピーチが待っている。私はさっきまとまったばかりのスピーチ原稿を心の中にある迷いを打ち消すように、スマホからノートに書き写した。

一部が始まった。正面に向き直る。最初の質問テーマは、「充実した人生とは」だった。そこで経沢さんは言った。

「迷っていい」

すどーーーん。いきなり答えがふってきた。

「今はたくさんの選択肢がある。ひとつひとつを重くとらえないで、チャンスだと思って軽やかに選んでみよう。そこにはかならず勇気が必要。でも、人の人生じゃない、自分の人生だから」

経沢さんの言葉はどれもシンプルだった。でも熱がこもっていてグッとくる。私はどうしてひとつにまとめようとしてたんだろう。どうして複雑に考えてしまってたんだろう。それはまだスタートしてないからじゃないかと思った。始める前からいろいろ考えて、むずかしくしてしまっているだけ。

なんとなくスッキリして二部のプレゼンに望んだら、今までで一番うまくいった。次に順番を待つ人のために足早に去ろうとする私に経沢さんは「むずかしく考えないで。大丈夫、できる」と付け加えてくれた。

帰りの電車の中では放心状態だった。これでよかったのか、まだ迷うけれどそれでもいいと経沢さんは言った。先生も同じことを言った。大事なのは、進むことを諦めないこと。今日は、そのためにあったのかもしれないと思った。

21時過ぎに娘を寝かしつけた後、リビングの後片付けをするつもりだったのに、そのまま朝まで起きられなかった。今日ずっと娘を世話してくれた旦那さんも私の足元で寝ていた。こんなにがんばったのは、いつぶりだろうと思った。しかも家族を巻き込んでなんて、はじめてだ。

答えがシンプルすぎて、全身脱力状態になったけど、なぜか今は力がわいてくる。うまくやろうとすると私は書けない。どこかウソっぽくなってしまう。私は「本当」を書きたい。本当がなんなのか。それは、心に響くかどうか。心に響くものはやっぱり書くことでしか生まれない。だから今は「書くこと」それ以外にはない。

今なら交差点のど真ん中で、「わたし、書きまーす!」と叫べそうな気がする。もう誰も探さない。正しさも求めない。書き続けるだけ。

もう無理! ってところで出る答えってどれもシンプル。「本当」ってそういうことなのかもしれない。

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