「わたし、ライターなんです」 美容院の鏡越しにスタイリストさんにそう告げた。本来、そこは髪型をオーダーするとこ…
「名刺? わたし持ってない。だって、めんどくさくない?」 名刺を配るのが当たり前の場で彼女は、笑顔で言い放った…
「これでお願いします」 目の前におかれたお金はあきらかに、「私には多すぎる」と思った。こんなにもらえない。でも…
「5つの動詞だけで英会話ができる」 これを見つけた時、私は私で生きていける。 そう思った。 &n…
「もう無理…! 明日、代わりに行ってきて……」 深夜2時、私は旦那さんに泣きついていた。逃げ出したかった。大人…
今日が夫の誕生日だということはもちろん覚えていて、忘れているのではないけれど、忘れるほど忙しいという言い訳もで…
もうキャーキャー騒ぐほどではなくなったけど、今でもあの目に見つめられると見透かされているようでドキッとする。 …
もう限界だった。娘の鼻水がとまらなくて、夜中に何度も起きる日が1週間も続いていた。夫が休みになる日を待っていた…
「近くに寄ったら、顔くらいださんか」 「刺身の花は、飾りやない。しょうゆに散らさんか」 「トイレットペーパーは…
書く人になりたいとはじめて思ったのは、たしか大学三年生の頃だった。 就職先も決まっ…
失礼ながら、彼女の訃報により彼女を知った。彼女を慕う作家さんが投稿していたのを見たからだ。「そんな人がいたんだ…