しましま。小説。

「ねぇ、もし私が男やったとするやん? そしたら誰かと付き合うとかめんどくさいわー。たぶん、男前でやり手なんやろうし。うーん、なんかそんな気がする。テキトーに寄ってきた女と何回かデートしてやっておわり。で、たまに淋しくなったら泊めてくれる人のところに行って、ごはん食べさせてもらうみたいな。だってさー、付き合ったらラインとかきたらすぐに返したりせんといかんやん?」

超絶観光地の京都を抜け、自宅までの車中、ふと私が男だったらと後部座席から夫に話し始める。ちょうど橋を渡り終えて、たまによるコンビニを通り過ぎたあたり。ついさっき見た、紫色と赤色が混ざり合った厭魅な京都タワーを遠目に見たからだろうか。

「やけんさー、やすくんはすごいと思うよ。そりゃあ、女やったらさ、自分一人に決めて欲しいよ。でも男からしたらめんどくさいわー、付き合って数ヶ月くらいで結婚とか言われたら、お前はどんだけいいオンナなんやって言いたくなるね」

「……最悪やな!」と笑いながら締めくくると、夫はやっと返事をした。笑っていてくれてよかった。車内の暇な時間はこうやって、私が思いついたことをどんどんしゃべって聞いてもらう。ただの一夫婦の意味のない会話。そんな風に思っていた。

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