意識。

高いところにいる。

みんなはここにはいない。

さみしくて降りて行った。

ほんとは雲の上がいい。渋滞もないし、太陽の光も好きなだけ浴びられる。

だけど。

みんなと同じところにいないと怖い。仲間はずれにされたくない。

どうすればいいの。

地上に居場所を作るしかない。笑って、ほめて、がんばって認めてもらおう。私がここにいて良かったって思ってもらえるように。

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キツイよ。

ちがうよ。

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お空の上のことは、もう忘れちゃった。

ねぇ、どうしたらいいの。

誰か教えて。

ホントの私って何?

みんなと楽しく話したい。遊びたいだけなの。

そして、認めて欲しい。

私を友達だと自慢して欲しい。

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誰か。

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30年以上の月日が経つ。

明るい私、おもしろい私、かしこい私、いい大学に入った私、先生にほめられた私、仕事ができる私、お客さんに気に入られる私、結婚できた私、幸せな家庭を持った私、友達がたくさんいる私がここにいる。

私は夢を持った。

書きたい。

表現したい。

これが本当の実現したい夢なのかもしれない。

そうだね、何を書きたいの?

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……わからない。

なんとなくだけどね、書くと気持ちがいいんだ。

上手だねって褒められるし。

これだ! ってものができたときは、みんなに読んでもらいたくなるよ。

じゃあ、それが書きたいことなの?

……どうかな。

わからないよ。

ただ感じてることだし。

誰かにこれを書いてって言われてるわけでもないしね。

ねぇ、教えて。

何を書けばいいと思う。

誰か。

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そっか。誰かに教えてもらうことじゃないよね。

私は私を書きたい。

そうでしょ。

ずっとそれしか書いてこなかったし、それしか書けない。

うん、そうだよ、私だよ。この私。

そうか!

それだ!

やっとわかった!

神さま、ありがとう!!!

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……私って何?

わたしってどこにいるの?

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明るい私?

ちがう。

友達がたくさんいて楽しそうな私?

ちがう。

私だけど私じゃない。

もっと深くにいるんだ。

誰も知らない私が。

知ってるんだ。

わかるんだ。

でも、それを出したら、振り出しに戻っちゃうよ。せっかく作ってきた友達も仕事も家庭も壊れちゃうかもしれない。怖いよ。

でも、

いるんだ。

私は。

ここに。

書きたいのは、たぶん、その、私。

これまで書いてきたものも、その私が書いてた。その私を書くってこと。書いてた私を書くってこと。隠してた私を表に引きずり出すってこと。内臓を引っ張り出すみたいにね。

痛そうだね。

そうかな? 気持ち良さそうな気もするよ。そんなに力を入れなくたっていいんだ。

上から見下ろすみたいにね、全体をみて書くんだよ。

俯瞰?

そう。

そういえば、私、昔、空の上から自分を見てたよ。雲の上にいると気持ちがいいんだ。自分が小さく見えて、キツイことも今だけだよ、ほら、ペースを乱さずに、ヒッヒ、フー。

呼吸を乱さないように意識して走るの持久走大会を思い出す。頭の上にはりんご。自分にだけ集中できるんだ。

そうだね、それがいい。

それが私の意識。

意識を戻そう、あの場所に。

#カレンダーガール

#ニールセダカ